2017年5月18日

百味存

昔、青山3丁目にあった和食の店「百味存」は、今になっても忘れがたい特別な店だった。

出汁には鰹節も使っていたけれど、食材は野菜だけの、ほとんど精進料理に近いものだった。初めて行った時の感動が忘れられない。

潔い包丁使いが野菜の美しさを際立たせ、出汁の旨味の確かさと、それぞれの食材の火の通し具合の妙が素晴らしく、野菜ってこんなに美味しいんだ!と実感できた。
拵えが素晴らしかった。

美味しさのレベルは、今まで食べた料理の極上級に違いない。

1990年に出版された百味存の本は記念すべき大切な一冊になった。料理の心得やしつらえなどが執筆されていて、ルーシー・リーや廬山人に盛られた美しい野菜料理が並んでいる。最後の項に作り方が記してある。

出版後、店主の横山夫紀子さんは青山の店をたたみ京都に移住したと聞いた。何があったのかは分からない。

時々、引っ張り出しては眺めている。先日はジャガイモの煮浸しを作った。百味存の味にはならなかったけど美味しかった。

和食の出汁の基本と店主の手腕とセンスと潔癖さが表れた料理が懐かしい。

野菜って、切り方がこんなに大事なんだ!それをこの店から教えてもらった。

もう一度、食べたいと思う気持ちが募りに募る・・最高の店だった。

三上宏幸

Tel.03-5466-4685

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